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シニアがサロンづくり――気軽な交流の場、自治体なども後押し

大勢のお客が集まり自宅のサロンでくつろぐ(東京都杉並区)
 シニアが自宅などを利用して独自にサロンを開く動きが広がってきた。1人暮らしの高齢者が増えるなかで、気軽におしゃべりして交流を広げる場となっている。自治体などもサロン新設を後押ししているほか、そうした場を設けている。和気あいあいとした「シニアの城」をのぞいてみた。
 5月の風がさわやかな日曜日の昼下がり、東京・杉並の閑静な住宅地の一角に、近所のシニア女性約20人が集まってきた。「さあ始めましょうか」。伊藤和子さん(55)の音頭とともに、玄関先に用意したテーブルにコーヒーやお茶、菓子が運び込まれ、にぎやかなおしゃべりに花が咲く。伊藤さんの自宅を開放した「阿佐谷北きずなサロン」の1幕だ。
 きずなサロンは、シニアの自主性に任せて、手軽な交流の場をつくる目的で、杉並区社会福祉協議会が住民に設置を呼びかけている。協議会は運営ノウハウなどを提供、すでに11カ所オープンした。カフェ代わりにもなり、客は1杯100円程度の運営協力金を払いコーヒーなどを飲む。
 伊藤さんがサロンを立ち上げたのは2001年秋。「以前から近所つき合いは盛んな地域だったが、シニアが気軽に立ち寄れる仕掛けがあれば、さらに交流の輪を大きくできると思った」
 サロンは月1回、天候が良ければオープンエアで、悪ければ自宅の1室に場所替えして開く。客として訪れるのは近所の顔なじみばかり。近所の友人約15人が交代で手伝ってくれるが、「ただ座っているのに飽きたらず『私にも何かやらせて』という人が多い。お客も運営側も垣根なく、楽しくおしゃべりしている」。
 このサロンの熱心なファンの1人である地域の町内会会長、村山恒子さん(72)は「病気になったり事故にあったり、不測の事態に備える意味でも、こうしたチャンスに顔見知りを増やすことは大事なこと」という。
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 同区内には、自宅以外にサロン用のスペースを借りてまで運営している人もいる。昨年12月にスタートした「きずなサロン・さくら」は、もともとは弁当店だった約50平方メートルの空き店舗を賃借した。田村美子さん(71)は「利益目的ではないことを理解して、持ち主が賃料をまけてくれたが毎月のやり繰りは大変」と苦笑する。サロンを開いていない時間帯は、住民の会合などに有料で利用してもらって埋め合わせているが持ち出しが続く。
 田村さんが住むのは住宅街の中心部で、最寄り駅まで徒歩で15分はかかる。しかも周辺には公共施設が不足しており、ちょっとしたイベントを開こうとしても、まずは場所の確保を考えなければならなかったという。「それなら気軽に集まることができるスペースを自分で作ろう」と思い立った。
 自宅ではなく貸店舗を選んだのは、「顔見知りに限定される会員だけでなく、初めての人にもたくさん来てほしかったから」。狙いは当たり、通りすがりの利用者から常連になった人もいる。お茶やコーヒー、菓子やくずもちを出す。多いときは1日50人近くが訪れる。
 一方、利用するシニアの側もサロンの運営に積極的にかかわるようになった。使わなくなった冷蔵庫を持ち込んだり、紙細工を学ぶイベントを企画したり――。田村さんは「これからどんな活動がはじまるのか予想もつかない」と期待に胸を膨らませる。
 中部学院大学の窪田暁子教授は「趣味のサークルなどと違って様々な考え方を持つシニアが集まるサロンは、新しい仲間をつくるきっかけにもなる。ただ、目的が明確でない分、まとめ役となるような人材が必要」と指摘する。
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 サロンは個人で運営するケースだけでなく、各地の自治体や商工会議所などでも開設する動きがある。
 福島商工会議所が先月オープンさせた「いきいきサロンひまわり」は、商店街の空き店舗を利用し、買い物に来たシニアが無料で休憩したりくつろいだりできるスペースだ。広さ約140平方メートルのゆったりした空間には、囲碁や将棋セットを用意。ソファや畳敷きのスペースもある。ヘルパーも常駐するなど至れり尽くせりの環境だ。
 1人暮らしの高齢者が、話し相手を求めて訪れるケースも目立つという。運営を担当する社会福祉法人、清樹会(福島市)の佐藤俊紀さんは「サロンをどう使うかは自由に決めてほしい。家族連れや若いカップルにも来てもらい、新たな交流の場になれば」と話す。

 これらサロンの魅力は、何をやるのかなどについて、参加者の自由度が高い点にありそうだ。楽しいことを探そうという気楽な気持ちで取り組むのが成功への近道かもしれない。
                          [2003年5月18日/日本経済新聞 朝刊]
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